絶対裏校則

｢はぁ…はぁ…｣

俺は無我夢中で走った。
あいつ…翼を守る為に…

いつしか俺は翼を一人の『女』として見るようになっていた。
それがいつからなのかは分からない。しかし、翼を守ってやりたい…あの日、あいつが教室から飛び降りようとしていた時からそう思っていたのは確かだ。
だが、それは恋愛感情ではなくただ、｢ほって置けない｣という一心だった。
でも今の俺は違う…あいつを苦しめたくない。あいつの笑顔を失いたくない。俺自信の手であいつを幸せにしたい。俺はあいつが好きだ…そう思うからだ。
だから…

｢はぁ…はぁ…｣

俺は教室の前に着くと、息を荒げながら足を止めた。
教室からは怒鳴り声と翼の｢う゛う゛っ…｣っと唸る声が聞こえる。
本当ならすぐにでもドアを開けて翼を助けに行きたい。でも、そうする訳にはいかなかった。俺はただ、その場でぐっと堪えるしかなかった。

｢ごめんな…翼…｣

そう呟き、涼子のいる特別室へと戻って行った。