絶対裏校則
「翼?どしたあ?」

翼の前に立ち、心配そうに聞いた。

「な、何でもねぇよ!」

少し泣きそうになりながら言う翼を俺はまだ気付いていなかった…

「んだよ~起こさなかったからってんな怒んなくていいだろ!」

「そん…なんじゃねぇよ…!」

何処か寂しげででもそれを俺に気付かれないように…と必死でたえる。

そんな彼女の姿を俺は女の子らしく思えた。


そう、いつもの翼じゃなかった。
またあの時の様に翼は何かを抱え込んでいた…

俺は何故この時こいつの気持ちに気づいてやれなかったんだろう…
昔のこいつを忘れた訳じゃない。けど、いつも元気に振る舞うこいつを見て安心していたのかもしれない…

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