赤い林檎
《プロローグ》
夜の繁華街やその裏道は、不良の溜まり場と化している。
「──喧嘩売ってんのか、てめぇ!」
六人の高校生ぐらいのチャラチャラした不良の一人が声を荒げる。
「売ってねぇよ…」
黒のパーカーにフードを深く被った小柄な少年は同じく不良なのか、フードの下からハニーイエローの明るい毛がチラチラ見える。
どうやら揉めているらしい。
──が、六対一とはまた卑怯な話だ。
「チビが調子乗ってんなよ!」
不良の声を合図のように、六人がその少年に一斉に殴りかかる。
バキッ
ドスッ
ゴキッ
「…ぐっ…!」
「く、そっ…!お前みたいなチビにヤられんのかよ…」
「チビで悪かったな…」
綺麗と言っても過言でないくらい、少年は鮮やかに不良たちを倒した。
そしてグレーのスウェットのポケットから真っ赤な林檎を一つ取り出し、一口かじった。
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