赤い林檎
「…入学式でもやっぱり少ないね。」
「やっぱりって…?」
「ん?ここ、翡翠(ヒスイ)学園高校って不良の受験率が一番高いからさ~。」
「そ、そうなの!?」
不良と聞いて、思わずびっくりする。
あ、びびってるんじゃないよ?
瑠色は怠慢なら喧嘩負け無しだけど、不良ばっかりはやっぱりやだよね。
「てか瑠色、知らなかったの?」
「知らなかった…だって偏差値五十以上だし、そんなにたくさん不良が集まるように思わないじゃん。」
「まぁ、たしかにね~。しかも集まる不良はみんな地元らしいよ。」
「ここ、治安悪いっけ?」
「ん~、悪いみたい。」
あはは、と困ったように笑う美宇を見て本当だな、と感じる。
「…にしても、近いから翡翠選んでくるって…不良さんたちも受験勉強はちゃんとするんだね。」
「ちょっと瑠色…悪いけど瑠色も不良の部類でしょ」
美宇にふにふにと頬をつつかれる。
「瑠色は不良じゃないよ。もう反抗期は卒業したもん」
「まぁ確かに大分落ち着いたよね~。中二まで荒れまくってたからね。」
「それはお互い様じゃん?」
だね~、と笑う美宇につられて瑠色も笑顔になる。