赤い林檎
「聞いてない…」
「潤が直接言ってるかと思ってた。」
ふるふると首を横に振る。
潤々も美宇もお互いが言ってるって思ってたのかな?
「てか会長してたんだ…」
「まぁ優しさだけでやってるみたいよ~」
たしかに潤々、優しいからね。
美乃ちゃん並みに瑠色の面倒見てくれる。
「たしかに潤々優しいよね」
「うん、ほんとにね。あの性格で不良やってたとは思えないよね。」
あはは、と笑う美宇は本当に嬉しそうで幸せそうに見える。
潤々と上手くやってるんだね。
瑠色のことじゃないけど、瑠色のことみたいに嬉しくなるよ。
無事に入学式も終わり、紫音に駆け寄る。
「ん、お疲れ。美宇ちゃん、よかったよ。」
「ありがとうございます。」
「にしても、潤々が…」
「わーっわーっ!」
紫音の声に重なって美宇が大きな声を出した。
そして小声で、
「お父さんにはまだ潤のこと言ってないの」
って、瑠色と紫音にだけ耳打ちしてきた。
ぱぱさんに言ってないなんて知らなかったよ。
「…てか、思ってたより生徒少かったな~」
上手く話を反らした紫音。
うん、さすがだよねっ。
「ねー。百人いなかったんじゃない?」
紫音に便乗して話を膨らます。