赤い林檎
「…やっぱだる着なんだな」
振り返るなり、今の服装を指摘する。
だって私服で行ったら色んな人に話しかけられるんだもん。
「目、つけられて話しかけられたくない。」
「(…だる着の方が違う意味で目つけられるんじゃないの?)」
紫音から少し変な視線を感じるけど、気にしないことにしよう。
「……まぁとにかく、俺がいないのは仕方ないことだからさ。」
「そうだけど~」
ぷくっと頬を膨らます瑠色に紫音は優しく、
「まだ美宇ちゃんが一緒のクラスになっただけ良かっただろ?」
と話しかけた。
「うん…」
「ん、いい子♪じゃあご飯食べよっか。」
…なんか紫音、瑠色の扱いどんどん上手くなってる気がする。
まぁ瑠色が心許す人がそうなるのは別にいいことだよね?
理解されてるってことだし♪
一人で勝手に解釈し、機嫌も良くなった瑠色は美味しい朝ごはんを食べてさらにご機嫌になった。
瑠色より先に食べ終わった紫音が髪をセットして戻ってきた。
「瑠色も食べたら髪整えておいで。」
「うん!ごちそーさまでしたっ」
やっぱり紫音が作るご飯美味しいな、なんて思いながら洗面所に行く。