赤い林檎





「……お前らもう喧嘩すんなよ」


そして、そう一言不良たちに告げた。




「お前……金獅子(キンシシ)?」


不良のなかの一番偉そうな奴が口を開く。


「……それ、よく言われるけど何。」

「自分の通り名知らねぇのか。別名“赤林檎のルイ”って聞いてんだけど、お前ルイ?」

「…………赤林檎は知らねぇけど、“ルイ”だ」


そのフードの少年の名は“ルイ”と言うらしい。


どうやら有名なようだ。



「……お目にかかれて光栄だな。勝てるわけねぇよ。」


行こうぜ、と不良たちは傷を体の至る所に作り、去っていった。




「瑠色、“赤林檎のルイ”とも呼ばれてたんだ…」


通り名、“金獅子”は噂で聞いたことはあったが、“赤林檎”を知らなかったルイは、そう呟きまた林檎を一口かじっていた。


───とても可愛らしい仕草で…





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