赤い林檎
「七時五十五分回ってる!」
「何分の電車?」
「八時の電車!」
授業は八時半から始まるから、遅くても二十五分には教室に入りたい。
家から駅まで七分程、乗車時間十五分程、駅から学校まで徒歩三、四分程かかる。
だからこの電車を逃したら遅刻になる。
「間に合わないな。美宇ちゃんは?」
「瑠色が遅かったら先行ってる。」
「じゃあ送ってやるよ。車だと十分ちょっとで着くからな。」
「……ごめんなさい。」
「謝るなら美宇ちゃんに。俺にはなんて言うのが正しい?」
「ありがとうございます…?」
「ん、正解」
ちゅっと頬にキスをされ、さて行きますか、と車のキーと瑠色の鞄を手に取り玄関にいく紫音についていった。
「明日から、もうちょい早く起きろな?」
「うん、やっぱり七時に起きるね。」
駅から高校にいくまでの道の信号にひっかかったため、瑠色を見て話す紫音。
紫音ごしに美宇が見えた。
「あ!紫音、美宇がいた!」
「え…?あ、ほんとだ。」
運転席の窓を開け、紫音が美宇に声をかけた。