赤い林檎





「…ってめ、聞こえてんだろ?」

「………………なに。」


ロッカーから背を離されるくらい、強く肩を掴まれたから仕方なしに返事をした。


「お前、さっきの女の男か?」

「………違うけど」


いや、彼氏どころか男でもないけど。


なんでいつも男の子に間違われるんだろう。

まぁ慣れたし、変なチャラい男に絡まれるよりも、不良に絡まれる方が断然ましだけど。


「じゃあなんだ、片想いか。」

「……違う」

「なら俺に紹介しろよ」

「は?…やだよ」


意味がわからない。

まず美宇彼氏いるし。


「あ?お前、俺に楯突くのかよ」


お前みたいなちっこいのが、とでも言いたげな目線を瑠色に送ってくる。

さっきもちっせぇ奴とか言われたけどさ、これでも瑠色一六〇センチと大きめなんだよね。

まぁ男としてみるなら別だけどさ?





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