赤い林檎
「そっか…美宇も辛かったね」
「…うん。けど今はもうしてないし、平気だよ。」
にこりと笑う美宇からして、本心であるだろう。
ただ潤々は少し、ほんの少しまだ心配そうな表情を残していた。
「けどさ、潤なんで喧嘩してたってわかったの?」
「あ、たしかに。」
美宇の一言にピクリと反応した潤々。
瑠色ですら知らなかった事実なのに、なんで潤々がわかったのかわからない。
「…1-Dってな、中学からの報告書に悪さしてた、とかそれらしき情報が多かった奴ら、四〇人が選ばれて出来たクラスなんだ…。」
つまり、それって…
「『不良クラス』…私たちがバラバラだと他の生徒に悪影響になる、ってこと?」
「言いにくいけど、教師の考えはそういうことになるかな。」
…やっぱり。
悲しいけど、どうしてもあまり過去がなかったり、悪い噂が絶たない不良はそう思われちゃうよね。
けど普通はそういう厄介な不良たちは集めちゃ駄目なんじゃないの?
少し疑問に思い、潤々を見上げる。
「…瑠色、なんでって顔してんな。」
潤々に心を読まれたが、いつものことなので素直に頷く。
「まずバラバラするのは、授業の影響を考えてのことと、他の生徒がそれに染まらないため。」
「……まぁ、たしかに。」
「みんなをまとめるのは、教師の手間とかもあるんだろ。けど、少なくとも俺はお互いにいい影響を与えあえたらいいなって思ってる。」
まぁ、俺の理想論だけどな、と苦笑した潤々。