赤い林檎
「ま、誰にもやるつもりないからいいんだけどさ。」
「……ばか」
「バカップル…で、Dってどこ?」
「バカップルでいいんだよ。っと、階段上がって左にある教室。」
言われた通りに左に曲がると、トイレ、教室と二つ並んでいた。
「え、Dなのになんで端?」
「…だよね、私も思った。五クラスだからEまであるんじゃないの?」
「あれ、言ってなかった?Sから始まってABCDってなってんだよ」
え、Sですか…
なんかいかにも勉強出来ますってかんじ。
「ま、美宇なら来年はSだろうな。」
「だね~、美宇学年トップだし。」
「なら瑠色と離れちゃうじゃん!」
「え……やだ!」
瑠色、美宇とばらばらとかやだよ!
すがり付くように美宇を見つめる。
「…一緒に勉強頑張ろう、ね?」
「うん…」
美宇に頭を撫でられ少し嬉しくなる。
そんな瑠色に美宇も笑って、1-Dの教室のドアに手をかけた。
──ガラッ
「─おはよ~っ」
「………」
元気に教室に入った美宇とは対称的に無表情で入る。
そんな瑠色をみて潤々は苦笑いしていた。