赤い林檎
だから今は瑠色と紫音の二人で暮らしている、というわけで。
「─お母さん、元気かなぁ…」
「元気だろ?三人の中で一番パワフルじゃん、母さんは。」
ニッと歯を見せて笑う紫音はとてつもなく、かっこいい。
「…紫音、イケメンだね」
「朝から兄貴を口説くな!ほら、早く着替えんのー。」
「はぁい♪」
少し照れた紫音を見て、満足する。
瑠色は俗に言う“ブラコン”、だと思う。
だって、紫音のこと大好きだもん。
紫音のことを考え、ルンルン気分で用意していた服に袖を通す。
瑠色が通い始める高校は主に私服だけど、今日のように入学式とかの行事のときは決められた標準服を着ないといけない。
「スカート、久しぶりに履く…」
標準服は紺のプリーツスカートに紺のブレザー、白のカッターシャツに真っ赤なリボン。
……なんか、瑠色のキャラに合わないんだけど。
そう思いながらも標準服に袖を通した。