赤い林檎
教室のあちこちで、『うっわ、可愛い!』と、美宇の容姿の評価の声が交差した。
みごとに不良ばっかりで、どこかの溜まり場の様だった。
「おはよー!あたし、今まで女子一人で浮いてたんだよね~」
よろしく、と笑顔を見せる金髪セミロングに赤メッシュがいくつか入った、いかにも悪さしてますって子が寄ってきた。
少し猫目で、キツい顔立ちだけど、美人だった。
「よろしくっ♪私、守谷 美宇。あなたは?」
「あたしは神田 涼(カンダ リョウ)。ね、どっちか彼氏?」
と、神田さんは潤々と瑠色を交互に差した。
「当たり前に俺の。」
そう言った潤々は、美宇を引き寄せ肩を抱いた。
「ラブラブなんだ!じゃあ、あんたもクラスメート?」
「いや、俺三年だから。つか会長だから。」
少し眉間に皺を寄せながら答える。
同期に見られるなんて、潤々なめられてる。
そんな気持ちが顔に出ていたのか、
「…瑠色、なににやけてんだよ」
と、潤々のチョップをくらった。
「………潤々、痛い」
「うわ、可愛い声っ。あんた、名前は?」
「…っ!?………柚山…瑠色。」
「瑠色、ね。可愛いーっ。」
よしよしと、チョップをくらった所を撫でられた。
な、馴れ馴れしい。
けど、べたべたした感じはない。
ヤンキーだからかな。
「すげ、瑠色がされるがままじゃん」
「…だね。涼ちゃん、瑠色と仲良しになれるよ」
にこりと美宇が笑った。