赤い林檎





「!!?」


倒れ込んだ瑠色は、自然と郁真に抱き締められる形になる。


それが嫌でも、すぐに体勢を戻せるわけもなく。

強く郁真に抱き締められ、体勢を戻せる戻せないの前に、この体勢では動くことすら出来なかった。


「…ちょ、いく「可愛くないっ?瑠色って言うんだってーっ」」


……む、無視された。

瑠色の視界は意外と筋肉の付いた、郁真の胸にあるためみんなの顔はみえないけど、郁真の声色からして笑顔だということは伝わってくる。


「いや、顔見えないから。てか、郁真の顔も見えないし。」


イケメンくん、ごもっともです。

瑠色だって、今イケメンくん見えないもんね。

抱き締めてる郁真だって背中だもん。


すると、しょうがないなぁなんて言いながら、ぐっと瑠色の体を起こしてそのまま反転させられた。

今は郁真に背中から抱き締められてる格好だ。


「ほぉ、可愛いな。」

「でっしょー?俺よりちっちゃくて可愛い子初めて!」

「たしかに、郁真よりちっちゃくても可愛い子はいなかったもんな。」


同感だ、と頷くイケメンくんの態度に満足したのか、嬉しそうに鼻唄を歌いながらまた瑠色を抱き締める腕に力がこもった。





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