赤い林檎
「つーか、女!お前なに笑ってんだよ」
「え、だって瑠色可愛いから」
「ちょ、郁真!美宇に女ってなんだよ!」
二人の間に入り、美宇を悪く言う郁真を睨む。
「俺、女って生き物が嫌いだから。」
「っ…なにがあったか知らねぇけど、美宇をそんな他の女と一緒にすんな。」
ふぅ、と一息つく。
初対面の人と話すのはどうも苦手だ。
「なんだ、ちゃんと喋れるんじゃん。ちなみに俺は結城 時雨(ユウキ シグレ)。」
「……………柚山 瑠色」
「ん、よろしくな」
にこりと微笑むイケメンくん──改め時雨に少しどきっとなる。
潤々も大概だけど、時雨は潤々よりも背も高ければ、大人っぽい顔立ち。
下手すれば時雨のほうがモテるのかもしれない。
「ちょっとぉ、俺のルーチャンなんだけど~?」
「どうかーん。瑠色、私のだからね~?」
「うわ、独占欲激しっ!絶対ルーチャンに嫌われるな~」
「は?ないないっ私ら喧嘩すらしたことないから~」
「「………」」
この二人のやり取りについていけない…。
呆れて小さく溜め息をつくと時雨と目が合い、慌てて反らしたら、時雨がくくっと笑っている声がした。