赤い林檎
◆詩人?誰それ、有名なの。
──────……
「本鈴鳴っただろー。いつまでも喋ってないで席つけー!」
少しして本鈴が鳴り、担任らしき若い男が入ってきたため、美宇は瑠色の左斜め前に座った。
瑠色にずっと抱き着いて「俺は瑠色の横がいいんだ!」と駄々を捏(コ)ねていたた郁真は時雨に引き剥がされ、渋々自分の席に戻っていった。
不良クラスと聞いていたから、クラスメート全員とは一日では会えないと思っていたけど、今いないのは二人だけだった。
──意外と真面目?
そんな瑠色と同じ気持ちだったのが涼だった。
「ねー、せんせー!このクラス、不良の集まりって聞いたけどほぼ出席じゃん?不良じゃないんじゃないの~?」
「先生には敬語を使え。それと、この学校は進学校だからそれなりの大学に進級したい奴、教養ある奴が多いんだ。」
「ふーん、ありがとうございまーす」
……涼のフレンドリーさ、尊敬するよ。
てか先生の話じゃ、今いない二人って教養ないし、進級する気もない奴ってこと?
なんかバカにされてる気が…
空いてる二つの席は、瑠色の前─つまり、美宇の右隣─の席と、郁真の左隣の二つだった。
絶対チャラチャラした奴だ。
そう思っていると、ガラッと勢いよく前のドアが開いた。