赤い林檎





「──…ね、瑠色」


今は昼休みになり、時雨の席に涼が座って三人でお弁当を広げて食べている。


「ん、なに?」

「あの四人なんだけどさ…」

「あー、やたら強そうな四人?」


その四人っていうのは、時雨、郁真、大和、時雨の兄貴の……李雨(イサメ)の四人だ。


「そうそう。オーラが違うかった四人!どっかで見たような…」

「え!二人共知らないで絡んでたの!?」

「「…?うん」」


涼が心底驚いた顔で、声を張った。


「……あの四人が地元でもかなり有名な四神だよ」

「四神って…だからなんとなく知ってたのね。」

「え、詩人!?そんな有名なんだ~。瑠色、読んだことない。」

「「………はい?」」


なに言ってんの、とでも言いたげな視線を二人から送られて、顔がひきつる。


「え?だから詩人…」

「瑠色、“しじん”違い。詩人じゃなくて“四神”。」

「四に神って書いて、四神だよ。瑠色、聞いたことないっけ?」


あ、そう書くんだね。

にしても四神って…


「瑠色知らないんだけど」

「まじ?うちは地元だから有名だし知ってるけど、少し離れると情報ないのかな?」

「いや、私聞き覚えあるから瑠色が興味なかっただけじゃん?」

「うん、なかったんだろうね。」


もー、と涼と美宇に笑われてしまった。





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