赤い林檎
「おまっ!それでも不良やってる野郎かよ~っ!」
「え……(や、野郎…)」
未だ李雨から逃げれていない大和が離れた所から声を張って会話に混ざってきた。
てか、どんだけ会話したかったのって話ね。
「大和うっさぁい~」
「…え、あ、わりぃ……」
きゃっきゃっ笑う郁真にバッサリ切り捨てられ、がっくりと肩を落とす大和。
……可哀想なやつ。
少し哀れんだ目で大和を見ると、そんな瑠色の気持ちが伝わったのか、目が合った一瞬は嬉しそうな顔をしたものの、さっと表情を変え、俯いてしまった。
そしてどんよりした空気を纏う大和は、
「てめっ辛気臭せぇツラしてんじゃねぇよ!」
って李雨に一発、重たそうな蹴りを入れられていた。
「うぁ、痛そー……」
「今の李雨の蹴りは音だけで、痛みはないんだ。根はいい奴だからさ」
ふと上を見ると、にこりと微笑む時雨がいた。
やっぱり双子はなんでもわかるのかな、と思った。
「でさ、ルーチャン!話戻すけど、守谷と潤さんなに?」
「…………付き合って「えっまじでーっ!」………る」
……大和に被られた。
少しイラッとした瑠色は、李雨たちの気持ちがわかった気がした。
「やっぱりそうなんだ~。潤さん、紹介してくれても良かったのに…」
「まぁあの人にも色々あるんだろ。」
ぶすっと少しむくれる郁真を、あやすように話しかけるのはやっぱり時雨だった。