赤い林檎
《第二章》
◆遠足?別に楽しみじゃないし。
二〇××年四月十九日、時刻は十二時四十五分。
この日の五限目はHRだった。
「…えー、五月の始めにある遠足のことを決めるぞー。」
───…そして、1-D担任の林によって爆弾は投下された。
「……瑠色休む。」
自然と出た瑠色の本音。
わぁわぁ盛り上がっている周りの声に掻き消されたが、隣だった時雨と前の李雨には聞こえたらしい。
「「…え、サボり?」」
同時に同じ二つの顔に見られ、少し挙動不審になる。
「えっ…あー、まぁ。」
「まぁ俺には関係ねぇ話だけどな。」
「………」
相変わらず可愛いげのない男だね、李雨は。
このあいだ郁真と大和が瑠色を神牙にいれたい、とか言って騒いでたときも
「はんっお前ら眼科いってこい。」
と、鼻で笑っていた。
あーあの瑠色をバカにした顔と態度、思い出しただけでいらいらする!
「そうか、お前来ないのか」
「………人いっぱい、嫌い」
「あー、人混みか。けどクラス単位で場所選べるみたいだし、みんなでいかないか?」
「…ぅ…あー…」
にこりと優しく笑いかける時雨に、きょろきょろと目を泳がしてしまう。