赤い林檎





あまりのかっこよさに紫音に見とれ、ぼーっとしていると

「見とれてんのか~?」


と、意地悪そうにニヤニヤと瑠色の顔の前で笑う紫音が目に入った。


「っ!……紫音のばか。」

小さく反抗してみるものの、そんなものは紫音にしたら可愛い行動でしかなかった。




「……んと、好きだけど完璧すぎて困るよね。」


紫音が着替えるため洗面所から出たところで、髪のセットを始める。


…って言っても、瑠色はベリーショートだからあまりアレンジの使用がない。

とりあえず毛先をコテで巻いてワックスで遊ばせる。


そして入学式だから、と紫音に貰ったブラウンのカラースプレーをふった。



「なんか別人みたい……。」


別にブラウンに染めてもいいかも、なんて思いながら紫音の部屋をノックする。


「紫音ー、用意終わったよ~。」

「ん、俺も終わった。」


ガチャリと開けられたドアの奥には黒のスーツに身を纏った紫音が立っていた。


「う、わぁ…」

「……瑠色、可愛すぎ。他の男に見せんのやなんだけど。」

「し、紫音こそかっこよすぎ!」

「ははっ、サンキューな」


ポンポンと頭を撫でられ、その気持ちよさに笑顔で紫音に寄りかかる。





< 7 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop