赤い林檎
あまりのかっこよさに紫音に見とれ、ぼーっとしていると
「見とれてんのか~?」
と、意地悪そうにニヤニヤと瑠色の顔の前で笑う紫音が目に入った。
「っ!……紫音のばか。」
小さく反抗してみるものの、そんなものは紫音にしたら可愛い行動でしかなかった。
「……んと、好きだけど完璧すぎて困るよね。」
紫音が着替えるため洗面所から出たところで、髪のセットを始める。
…って言っても、瑠色はベリーショートだからあまりアレンジの使用がない。
とりあえず毛先をコテで巻いてワックスで遊ばせる。
そして入学式だから、と紫音に貰ったブラウンのカラースプレーをふった。
「なんか別人みたい……。」
別にブラウンに染めてもいいかも、なんて思いながら紫音の部屋をノックする。
「紫音ー、用意終わったよ~。」
「ん、俺も終わった。」
ガチャリと開けられたドアの奥には黒のスーツに身を纏った紫音が立っていた。
「う、わぁ…」
「……瑠色、可愛すぎ。他の男に見せんのやなんだけど。」
「し、紫音こそかっこよすぎ!」
「ははっ、サンキューな」
ポンポンと頭を撫でられ、その気持ちよさに笑顔で紫音に寄りかかる。