赤い林檎
「とにかくさ!俺ら決まったから林ちゃんに言ってくるわ」
「…うん、大和よろしく~っ!」
にこにこした郁真と明るい大和が重い空気を変えてくれた。
さすがというかなんというか。
付き合いが長い二人には分かるんだろうな、この双子の気持ちが。
大和と郁真の言葉と表情から、二人の優しさが伝わる。
───…この人たちなら。
……少し、ほんの少しだけど、信じてみてもいいかなって思ってしまった。
「……郁真、体勢辛い?」
「ん?あぁ辛いっちゃ辛いけど~なんで?」
「…えと……座る?」
んーっと伸びをしている郁真を見上げて聞く。
え、と伸びたまま丸い目をさらに丸くして瑠色を見つめる郁真に、恥ずかしくなり視線を落とし俯く。
「…なんなの、この可愛いの。男にしとくの勿体なすぎるでしょ。」
「………え?」
「じゃあ遠慮なく座るねー♪」
何かぶつぶつ聞こえた気がして聞き直したけど、にこにこした郁真に言われ、ぱっと席をたった。