赤い林檎
「え?ルーチャン座んないの?」
「……椅子ないし、交代」
「椅子ならあるじゃん♪」
訳がわからずはてなを浮かべて郁真を見ると、両手を膝の上でぽんぽん、と叩いた。
…えっと、これは座れ、と?
い、いやいや、無理だから!
紫音にはいつもしてるけど無理だから!
と頭のなかでぐるぐると考えているとふっと笑う声が聞こえた。
すぐ隣を見ると、
「瑠色お前、ほんと面白いな。見てて飽きない。」
とくすくす笑う時雨がいた。
うぅ…恥ずかしい。
「二人ともだいぶ瑠色の扱い慣れてきたねー、瑠色もなついてきてるし。私も嬉しいな。」
時雨の机に肘をおき、頬杖をつきながら微笑む美宇は、それはもう女神さまのように可愛かった。