赤い林檎
「林ちゃんが、班でどうするか決めろだってー。」
林先生(何気に目上の人にはきちんとした言葉遣い)に班のメンバーを伝えにいってくれていた大和が戻ってきた。
「班でどうするって…なにをだよ。」
「あーっと、俺らのクラスは葵緑地公園でバーベキューだって!だからその買い出しするものとか。」
「あぁ、成る程。お前いつも説明はしょりすぎなんだよ。」
ぺしっと可愛らしい音で時雨が大和の頭を叩いた。
時雨って、みんなのお兄ちゃんみたいだよね。
なんて思いながら微笑ましく二人を見ていると大和と目があった。
「…っ!」
「あれ、瑠色椅子ねぇの?」
「え…あー…」
椅子に座る郁真と時雨の真ん中で突っ立ったままの瑠色を不思議そうに見てくる大和。
いきなり目が合って、質問されて上手く対処ができない。
最早赤ちゃん並みの言語力だよね、これ。
「あるよ?こーこっ♪」
「「え……」」
相変わらずにこにこしっぱなしの郁真が膝を叩きながら瑠色を見上げる。
そんな郁真を意味がわからないといったような顔をした大和と声が重なった。