赤い林檎
「え、それお前の膝の上じゃん。」
「そーだよ?」
「………」
なにか問題でも?という顔の郁真に、なにか難しい顔をした大和。
「じゃあこっちだな。」
ふと低めの声が聞こえたかと思えば、体が急にバランスを崩し、そのまま左側に倒れた──はずが、痛くない。
「っ!……?」
なんで?そんな気持ちを込めて、きゅっと瞑っていた目をゆっくりと開けた。
瑠色の目に映ったのは、吃驚した顔の郁真と、は?って顔した李雨。
えーっと…どういう状況?
相変わらず頭の上にはてなを浮かべたまま瞬きを数回した直後、瑠色のお腹に後ろから手が回ってきて驚く。
「──…っ!?」
「ははっ瑠色捕獲ー。」
「…し、ぐれ?」
「おー、このまま座っとけ。」
ぎゅう、と後ろから抱き締められて顔に熱が集まるのを感じた。