赤い林檎
「……いちゃいちゃすんのはいいけどさ、遠足のこと、さっさ決めようぜー」
呆れたように溜め息を吐きながら大和がいう。
やー、もっともです!
「そうだなー。まず肉」
「…なんか今日の時雨は面白いね。」
「はいはい、肉全般…っと。次ー」
上から楽しそうな時雨、吃驚した顔のままの郁真、林先生にもらったプリントに班員の名前と材料を書く大和。
ほんと、自由だよね。
「ウインナー、キャベツー、あ!焼きそばしたいっ」
「焼きそば…いいな、それ。俺が作ってやる」
「李雨特製~っ?」
「えー、ウインナー、キャベツ、麺、人参…鉄板は借りよう。」
…李雨の発言は誰も突っ込まないんだね。
郁真の目、きらきらしてて嬉しそう。
「で、他なんかいるもんあるか?」
「…私、お菓子食べたい。」
「お菓子な、これはスーパーで決めようか。…っと、瑠色は?」
「…っ!?」
る、瑠色!?
えっと、瑠色はー…あ、あれ食べたい。
「……ま…マシュマロ焼きたい」
「……マシュマロ、いっぱい買おうな。」
「わっ」
よしよし、と時雨に頭を撫でられた。
やっぱり時雨は少し紫音に似てる。
「…っしゃー!遠足、早く行きてぇーっ!」
「新堂ー静かにやれー。」
…ちょっとだけ、遠足が楽しみになった。