赤い林檎





「──…ぃ…るいっ…あー駄目起きない。」

「じゃあ俺が起こしていー?」


ん…誰か瑠色の名前呼んで、る……?

でも、まだもう少し…


「ルーチャン~、起きなきゃちゅーしちゃうよ~?」

「ちょ、東雲くんっなに言って…!」

「郁真、お前男とキスすんのか?」

「あれ、李雨もう降りてたんじゃ?」

「…うっせーよ、大和」

「いって!」


んん…なんか騒がしい。


「……ん」

「あ、瑠色?着いたよ」

「ん?…んー…」

「ほら、寝ぼけないで。」


あまり回らない頭のまま、目を擦り、ふと思う。


「…しおんー…?」


紫音がいない。

もう一度擦っていた目をゆっくり開けて、あらびっくり。


「……あれ、美宇?」

「なに寝ぼけてんの。遠足!紫音さんはいないの」

「あー…そっかぁ」


もう、と美宇が瑠色の身の回りの整理を始めてくれた。

漸く頭がはっきりして、バスの外をみたら木とか緑がいっぱいでバスも他に何台か留まっていた。

そしてバスのなかに視線を戻すとみんなが瑠色を見ていた。





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