赤い林檎
「…じゃあ、行こっか」
「うんっ」
家の戸締まりをして、紫音と二人エレベーターに乗り込み駅に向かった。
駅までは徒歩八分ぐらいの距離にある。
「高校まで何駅だっけ?」
「えっと、四駅だから十五分ぐらいかな?」
「良かった……」
人込み嫌い。
瑠色には紫音と友達がいればいいもん。
しばらくそんなことを考えながら無言で駅に向かっていた。
そんな瑠色の心を読み取ったのか、紫音に苦笑いしながら頭を撫でられた。
「…?」
「俺がついてるから。な?」
こくり、と頷くとちゅっと頬にキスが落とされた。