赤い林檎
「二人共ー、お肉焼けたよーっ!」
「李雨特製の焼そばも出来たってー!」
美宇と郁真がお箸片手にぶんぶんと此方に手を振ってきた。
よしいくか、と時雨が瑠色の頭をぽんっと叩いてみんなのところへ進み始めたのに瑠色も続いた。
「──…あー、旨かったぁ!焼そばまた食いてぇ」
「気が向いたら作ってやるよ」
「李雨ー、俺にも~」
「はいはい」
肉、野菜類はだいたい焼き終わり、今はみんなで大量のマシュマロとお菓子を消費中。
瑠色は竹串に三つ差してるのを二本持ち。
右手の竹串を口元に持ってきてあー…と口をあけてパクッと食べる。
「……んまぁっ」
にこにこと自然と口角が上がり笑顔に気付くことなく、幸せな時間に浸る。
そんな瑠色の珍しい表情を無言で見つめる四人に対して、嬉しそうに瑠色を見てから美宇も幸せそうにマシュマロを頬張った。
「──相変わらず焼きマシュマロ好きやなー、るぅは」
そんな六人のとは違う声が聞こえ、声のするほうへ全員が振り返った。
「……ぇっ、あ「敦司!お前来るのおせぇよ」」
「いやー、悪いなぁ李雨。久々の日本で迷った迷った!」
「まぁ一年間いなかったもんなー、お前」
「あ゙?大和いつから俺をお前とか言うてんねん」
「え…わりぃ」
……な、なんだろうか、この光景は。
目の前には中三の一年間、アメリカのメーン州に留学していたはずの瑠色の元お隣さんで幼馴染み。
彼は眞鍋 敦司(マナベ アツシ)。
ここに引っ越してくる前のところであっちゃんが引っ越す小三になるまで、ずっと仲がよかった唯一の友達、否美宇に匹敵するくらいの親友。
そして小三からは大阪に住んでいたあっちゃんは中学に上がると同時に、ここに引っ越してからもずっと関西弁を話している。
勿論仲良しだった瑠色は、毎年大型連休は紫音と一緒に遊びにいっていた。