赤い林檎
…そして、瑠色の初恋の相手でもあったりなかったり、あったりする。
「──……あっ、ちゃん?」
「ん?…あー瑠色が先やったよな」
ごめんやで、と言ったあっちゃんは瑠色の目尻にちゅ、とキスをしてからぎゅうと抱き締めてくれた。
キスされて泣いていたことに気付く──と同時にあっちゃんに負けじとぎゅううと抱きつく。
「うー…あ、あっちゃんっ」
「よしよし、寂しかったな」
「…お…おっ」
「……お?」
嗚咽に邪魔されて“お”を連呼する瑠色から体を少し離して瑠色の顔を覗き込む。
「お…おか、えりぃ」
涙でぐちゃぐちゃであろう顔のまま、心からの笑顔をあっちゃんに向けた。
「ふはっ…ただいま、るぅ」
泣きすぎや、とあっちゃんの服の裾で拭われた。
漸く落ち着いた瑠色に、
「…ね、あっちゃんって瑠色の幼馴染みの人?」
と遠慮ぎみに美宇が聞いてきた。
あ…みんながいるの忘れてた。