赤い林檎

◆夜の裏通りは不良の巣窟。






─────瑠色は今、大変暇である。


…と言うのも、今日は紫音が大学の友達と呑んでくるから遅くなる。


んー、紫音のいない家はつまんない。

この暇な時間を一人でどう過ごそうか…。


あっちゃんの中学は四神である四人と同じだったらしくて(小三からは大阪だけど)、今日はそのときの友達と遊びにいってるし。

美宇は美宇で潤々と出掛けるって。



瑠色、一人寂しい子みたいじゃんね。


「……そうだ!」

(喧嘩買いに)裏通りへ行こう!


出掛けることが決まったら早速喧嘩のために着替え始める。

ズボンは紺のハーフパンツで、上はグレーのフードつきの半袖のトレーナーだけど、紫音がくれたお下がりだからだぼだぼ。

喧嘩する度に服を汚して帰ってくる瑠色に紫音が『喧嘩んときは汚れていいやつ着てけ。』ってくれたんだー。





と、いうことで入学してから行ってなかった夜の裏通り。

そこを目指して、まずは商店街をぬける。


……なんだろう、今日は浴衣姿の子が多い。


商店街では屋台がずらっと並んでいる。

あ、今日林檎持ち歩いてない。


「…林檎飴~」

折角屋台が出てるなら、と、小声で呟きながら林檎飴の屋台を探す。


んー、林檎飴食べてる子いるのに、なんで?





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