赤い林檎
「ゆーだい、瑠色ちゃんの髪汚れるから」
「おー、わりぃわりぃ」
「明日も五時から屋台開くから、人いっぱいだけど良かったら紫音くんとでもおいで?」
人混みが苦手って知っているから、気を使ってくれてるのが伝わる。
夏子さんも雄大さんもいつもにこにこしてて、いい人!
「うんっ、紫音に話しとくね」
笑顔で手を振って雄大さんたち夫婦と別れた。
二人ともヤンキーだったんだけど、普通に優しい夫婦だ。
姫りんごを袋にいれてもらって、大きい方を頬張りながら細い路地をてくてくと歩く。