赤い林檎





「~~~♪~♪」


呑気に鼻歌を歌いながら、ずんずん暗い灯りの少ないところへと進んでいく。

元々だぼだぼのパーカーのフードを深く被り、目元は影がかかって、たぶん周りには見えない…はず。


あー、にしてもりんご飴うまっ!


「~~♪~~♪」


相変わらず鼻歌を歌っていると、ぎゃあぎゃあと騒ぐ声が聞こえた。


「……ん?」

と、よく耳を澄まし、声の方へと進んでいった。


「────…てめぇっ……かよ!」


おーおー、やってるやってる。

建物の角からばれないよう、そぉっと覗く。


チャラチャラした感じの茶髪と金髪が全部で四人見えた。

その中心には黒髪に黒縁眼鏡をかけたスーツの男がいて、真ん中の一番偉そうな男がそのエリートっぽいスーツの男の胸ぐらを掴んでいる。


あらら~カツアゲ?

しょうがない、瑠色が助けてあげよう!





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