赤い林檎
「……」
「………瑠色?」
「…ば、ばかっ!」
いきなりのことで頭がついていかず、気づいた頃には恥ずかしさでいっぱいだった。
駅まで徒歩八分の距離なわけで、もう瑠色たちはついていたから周りには人がいっぱいだった。
黄色い声を出す女の子がいたり、興味の視線を送ってくる男の子が駅前にちらほらしている。
それに気づいて、紫音にぴたりとくっつく。
「切符、買ってくるから」
「…じゃあ瑠色も一緒にいく。」
紫音の手を握り、切符販売機まで行き、高校の最寄り駅分の切符を買った。
「……瑠色、改札機は一人しか通れないから。」
渋々紫音の手を離してバラバラに改札機を通る。
改札機を通ったあと、周りからみたら磁石のようにまた紫音にくっつく。
「…瑠色、子供っぽいかなぁ?」
「なんでそう思うの?」
「だって…紫音にいつまでもべったりだし」
「なんで?瑠色から来なかったら、絶対俺からべったりしてるよ。」
「嘘だぁ!」
いつも瑠色ばっかだもん。
紫音からなんて滅多にない。
「嘘じゃないよ。俺もかなりべったりだからな~」
と、少し照れたように笑う紫音に瑠色も同じように照れた。