優等生な彼vs不真面目な彼
「・・・翔君、ズルイよ」
あたしが小さく反論すると、翔君はいつもみたいに口元を少しあげて笑った
翔「新田のこと好きじゃないんならさ?・・・考えてみてよ、俺とのこと」
『ね?』って笑う翔君に
やっぱり断ることは出来なくて
優しい翔君の瞳を見つめながら、『分かった』って呟いた
翔「うん。じゃあ、そろそろ行こうか?」
そうあたしを促した翔君は大野先生に挨拶してから
保健室を出た
2人で並んで廊下を歩いてると、向こうの方に人影が見えて
近づくとそれが誰だか分かった
「・・・新田君」
ガムを噛みながら歩いてくる猫背は紛れもなく新田君で
少し顔が上がった彼とはっきりと視線が絡まった
翔「・・・行くよ?」
翔君に腕を引かれながら、もつれる足を必死に動かして
新田君とすれ違ったとき
彼の目が、見たことないくらい鋭くて
泣きそうになった