優等生な彼vs不真面目な彼
【15】初カレシ・初カノジョ
気づいたときにはもう壊れた後だった
新田君に向けられたつめたい背中に
『もうだめだ』って気づいた
・・・・・・あたしは本当に弱くて、弱くて・・・
最低の女で
それでもいいや、・・・って震える手で電話をかけた
「・・・もしもし、翔君?」
翔『萌?・・・大丈夫か?』
聞こえてきたのは優しい翔君の声
翔『・・・?萌?』
「・・・あたし、」
翔『うん?』
「翔君と付き合う・・・」
翔『・・・え』
「・・・・・・・・・」
翔『いい、の?』
「うん。・・・いいの」
翔『そっか・・・』
安堵したようなやわらかいため息と一緒に
『なんか・・・ごめん』って呟く彼
「え・・・?」
翔『・・・だめだ、不謹慎って分かってるけど・・・』
「・・・?」
翔『うれしい』
電話の向こうの翔君が笑ってるのが分かる
ごめん
ごめんなさい・・・
切れた携帯を震える手で握る
本当は全部分かってたの
あの時、屋上でキスしてる二人を見たときから
知らないフリしてただけ
でも、もう手遅れ
あたしは翔君を選んだ
・・・・・・けど、それなら気づかないほうが良かった
最後の最後に、自分の気持ちを確信するなんて
あたしは本当にバカだよ・・・
新田君が好きだった
でも大丈夫。
なにが大丈夫かなんて分かんないけど
・・・あたしは翔君を好きになれる