優等生な彼vs不真面目な彼
ふだんなかなか行かない教室
職員室とか、放送室とか、委員じゃなかったあたしにとっては全然縁がなかった場所で・・・
生徒会室も、そのひとつ
小綺麗なドアの向こうはどうなってるのかなんて全く知らなくて考えたこともなかった
・・・そんなあたしが今、生徒会室の前に立ってるって
多分、けっこうすごいこと
『失礼します・・・』って震える声でドアを開けると
中から『どうぞ』って、集会とかでよく聞く低い声がした
翔「・・・あれ、一ノ瀬さん」
「あ、桜川君・・・」
中にある机に向かってたのは、同じクラスで生徒会長の桜川翔太君
翔「どうしたの、何か用事?」
「・・・ぅん、先生に、資料取ってきてくれって頼まれて・・・」
翔「先生って、担任?」
「うん、そう」
翔「・・・あー、ちょっと待ってて」
桜川君は、静かに席を立ってそばにある棚をゴソゴソし始めた
しばらくすると桜川君は申し訳なさそうにこっちを見て
翔「ごめん、頼まれてた資料まだできてないんだ・・・」
って眉を下げて笑った
「そっか・・・、それなら仕方ないね」
翔「先生には俺が言っとくから。・・・本当にごめん」
「分かった。・・・じゃ、あたしはこれで」
翔「・・・あ、ちょっと待って。お詫びになんか飲んでかない?」
・・・・・・・・・え?
少しびっくりして振り返ると彼は優しい顔して笑ってた