魁桜
飛鳥くんが体を少し屈ませて、顔を覗き込んできた。
その顔には心配そうな表情が浮かんでいた。
『……琴音泣かせるなんて』
「稚里ちゃん…?」
稚里の殺気に驚きを隠せない飛鳥くん。
…すごい怒ってる…
ってあたしが泣いてるせいだけど。
すると、扉が開く男がした。
「あっ、真城さん…」
『…飛鳥、バイク乗せてくれてありがとね』
「へ?ああ、うん」
稚里はバイクから降りると、先生に向かって歩き出した。
−琴音 side end−