魁桜
「暁斗、車用意出来た」
「ああ。…立てるか?」
手を差し出せば、それをぎゅっと握る。
……もっと前に言っとけばよかったか…。
この手、離させねぇように…。
『…あれっ?』
「どうした?」
『た……立てない』
「……は?」
本人は立とうとしてるけど足が動かないらしい。
…腰抜けたか。
真城さん…ほんとやってくれたな……。
「琴音ちゃんは?大丈夫?」
「あっ、うん。あたしは大丈夫」
…隼人が女気にするなんて、珍しいな。