魁桜
なんだか猫みたいに擦り寄って来る…。
かわいいけど何がしたいんだ…。
「稚里」
『はい?』
「…好きだ」
―――…え?好き…?
『……誰が、誰を…?』
「…言わせんの?」
『言ってくれなきゃ分かりません……』
そう言うと、溜め息をついて今度は耳元で―――
「稚里が好きだ」
―――低音ボイスで囁かれた。
…泣きそうだよ。
「…稚里?」
違った。もう泣いてた。
涙がポタポタ落ちてる。
「……そんなに嫌か?」
『ばっ、違うし!』