魁桜


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何回目かのジェットコースターも終わり、目の前にはやたらリアルなお化け屋敷の建物がそびえ立つ。





「…結構、リアル…だね…」

「すごいねー。どうやったらこんなの作れるんだか」

『……』




いや、もう何も突っ込むまい。関心する観点が違うだろ、とか思うけどもう何も言わないよ。


リアルにホラーだし、琴音は今にも逃げ出しそうだし。最初に入りたいって言った奴は誰だか…。




『行こっか』

「ま、待った…!やっぱ、」

『隼人、引き摺ってでも連れてきて』

「鬼ぃ〜〜〜!!」




あたしはあたしで暁斗の手を引っ張り、お化け屋敷へずんずんと入って行く。




「何名様ですか?」

『4人でーす』




受け付けのお兄さんは4つの懐中電灯を渡して、暗幕を少し開けた。




「それでは、お気を付けて行ってらっしゃいませー」




案の定、中は真っ暗。




「うわー、暗いよぉ〜…やだー帰りたい…」

『やっば…なんにも見えない…』




懐中電灯があっても、あんまし意味ない…。暗いなぁほんと。


とりあえず、懐中電灯で照らして見える範囲で動いてるけど…。




『これちゃんとゴールすんの?』

「ゴール無かったらどこに出るんだよ」

『まぁそうだけどさぁ…。…痛っ』




ゴンッと壁に額をぶつかって、数歩後ろに後退った。


…いたぁ…、何コレ?なんの嫌がらせなの…。




「大丈夫か?」

『うんまぁ…。なんか面倒くさくなってきたから早く出たい…』

「……お前、怖がんねぇから面白くねぇな」




暁斗に溜め息混じりに言われて、あたしも溜め息をついた。




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