魁桜
……怪我?
声からして、稚里。
言い合ってるのはたぶん、院長先生。
「あなたって子は……。もういいわ。暫く部屋に行って頭を冷やしなさい」
「………」
稚里が、部屋に来る…。
どうしようか、迷っている間に扉は開いた。
「あっ……」
「…何だ。起きてたの?」
あたしの横を通り過ぎて、クローゼットに向かう稚里。
「その怪我…どうしたの?」
大きなものから小さなものまで。
でも稚里は、何も答えずに黙々と着替える。