恋風〜恋ってセツナクて風が心まで冷たくしちゃうの?
ボクの頬に
やわらかな感触があった。

それは
ほのかのクチビルのようにあったかい。

起きていても
夢ってみるのかな?

起きてて夢なんて…


えっ?


ボクは慌てて目を開けた。


ボクの車イスの横に
しゃがんでいる

いるはずのない、ほのかがいた。


「 うそだろう?
ほのかが…。 」


ボクの続くはずの言葉は
ほのかのクチビルで消されていた。


「 純平さん?
一人で消えちゃうなんて
いけない人ですね?

すっごく、
すごく心配したんだからね。 」


ハラハラと
ほのかのキレイな目から涙がこぼれている。

それでも笑っていてくれる、ほのか。



これはやっぱり
夢かもしれないなぁ。


ほのかに触れたくって
もう一度体温を感じたくて手をのばした。


ボクの右手を
ほのかは両手で包んでくれている。


あったかい…。


大好きな
ほのかの体温。

これは夢なんかじゃない!

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