恋風〜恋ってセツナクて風が心まで冷たくしちゃうの?
「 入江…この資料
午前中の会議に使うから大至急18部用意して。 」


「 はい!18部ですね。 」


私のデスクから見えるところにコピー機はある。
でも…
なんだかコピー機が動いてないみたい。


「 コピー機使えないんですか? 」


「 なんか止まったままなんだよね。
一階のコピー機借りるかな…。 」


「 そっかぁ、
朝からいっぱいコピーしたから疲れちゃったんだね。
でも今ねコピーしたいの。
大至急なんだって!
もう少し仕事しませんか?
センパイ! 」


まわりから見たら
きっと不思議ちゃんに見えたと思う。
いや確実に見えた。

ガラス面をクリーナーで拭きながら話しかけていたら
コピー機のスイッチが入った。


「 ありがとう!
また顔拭いてあげるからね。
センパイ! 」


「 入江さんって機械を癒してしまったんだって?
スゴいね。 」


この話はランチタイムまでには会社中に広がっていて、
食堂のおかあさまたちにまで伝わっていた。


「 ほのかちゃん、
やっぱりあなたは不思議な人だけど、
みんなの癒し系になれるわよ。 」


これは、誉めていただいてると勝手に解釈してしまった私。


これからの社会人生活なんだか楽しくなりそう。


「 キミが入江さん?
一緒にランチしないか? 」


なんだかみんなから声がかかるって、
少しこわい気がした。
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