初雪恋〜あの日をもう一度君と〜
◆プロローグ◆
「お先に失礼します。」
私は書類を片付けて荷物を手に取った。
「お疲れ! …あれ?でも、いつもより早くない?」
「今日は用事があるので、早めに仕事を切り上げたんです。」
「そっか。じゃあ、気をつけてね。」
「はい。」
上司にあいさつをして私は会社を出た。
いたって普通のOL。
日向 真白(ひなた ましろ)21歳。
今日は私にとって一番大切な人の命日。
私は地元にある、墓場へと向かった。
仕事を早めに切り上げたのもこのため。
いつだって彼のことを忘れたことなんてない。
"初恋"
誰だって忘れられないような恋愛の1つくらいある。
「…雪」
会社から出ると雪が降っていた。
息が白く染まる。
そういえば…さっき誰かが今日は初雪が降るって言ってたっけ。
雪…。
私は雪があまり好きではない。
悲しい過去を思い出すから…。