初雪恋〜あの日をもう一度君と〜
突然の別れ
寒さで全身の感覚が分からなくなってきた……。
いくら何でもおかしい。
約束から少し時間が遅れているだけならまだ寝坊でもしたのかなって思うけど…さすがに遅すぎる。
もしかしたら何かあったのかもしれないっ…!!
そう思った私は鞄の中から携帯を急いで取り出した。
――ピリリ〜♪ ピリリ〜♪
その時、ちょうどいいタイミングで携帯の着信音が鳴った。
画面に表示された名前は……『白石雪斗』
良かった!!
遅いけどやっぱり寝坊しただけだったんだ。
私は慌てて通話ボタンを押した。
「もしもし?雪君、おそ……」
"雪君遅いよ〜"そう言おうとした私の言葉を遮ったのは雪君ではない人物の声だった。
「もしもし?真白、聞こえるか?」
その人物は…。
「…えっ?お、お兄ちゃん!?」
私のお兄ちゃんだった。
でも、なんでお兄ちゃんが雪君の携帯でかけてきたのだろう。
お兄ちゃんだって携帯持っているのだから自分のでかけたらいいのに……。
「なんで、お兄ちゃんが雪君の携帯使ってるのよっ!雪君に代わって!!」
私は少し怒り気味に言った。
「これには訳があるんだ。真白、とにかくいますぐに俺の病院に来い」
お兄ちゃんは医者で、ここから少し離れたところにある病院に勤めている。
「な、なんで?説明してよ!!」
「いいか、真白よく聞けよ」
いつもよりやや低めで、複雑そうな声でお兄ちゃんは言った。
それはお兄ちゃんの昔からの癖。
良くないことを話すときにこんな感じで話す。
イヤな、予感がする…。
私は直感的に思った。
やっぱり、雪君に何かあったんじゃないかって。