君がいるだけで…[番外編短編集]
「と、とにかく私は忘れてなかった…よ。」


『そっか。俺も、忘れてるわけないよ。』


その言葉に二人で顔を見合わせて微笑んだ。


何だかくすぐったかったけど、心地好かった。


『よし、美月先輩ん家寄ってから帰るか!』


真尋くんがそう言いながら立ち上がったけど、

私は驚いて座ったまま真尋くんを見上げる。


「えっ!?」


『紗羅、子供たちのこと気になってんだろ?』


「そんなこと…、」

ないとは言い切れなかった。


子供たちが生まれてから
離れたことなかったから…

子供たちはケロッとしてるんだろうなと思っても
少し心配だった。


『わかるよ。紗羅見てれば。』


クスクス笑う真尋くんに
少し申し訳なくなった。


せっかく二人で過ごしてるのに…。


『子供たちいないと静かだしなー。家で、みんなで紗羅が作ったケーキでも食おうぜ。』


「何で知って…!?」


別に次の日にでも食べればいいと思って
お昼暇だったので内緒でケーキも作っていた。


それを知ってるなんて…
ビックリ過ぎる。


『だから、紗羅のことなら何でもわかるって。』


楽しそうに言う真尋くんを見て、

本気で真尋くんがエスパーなんじゃないかと思った。


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