君がいるだけで…[番外編短編集]
『ん?帰らねーの?』


「か、帰る…」


真尋くんが差し出してくれた手をギュッと握って、お店を出た。

そしてそのまま車で美月の家に向かった。


「あれ、どうしたの!?」


私たちを見てビックリしている美月に
私は苦笑いしか出来ず、

真尋くんがいい感じに説明してくれた。


『子供たちいないと静かで迎えに来ちゃいました!』


「そうだったのね、」


「美月、子供たちは…?」


「寝ちゃってるよ。」


「そっか…。じゃあ連れて帰らない方がいいかな…」


そう呟いたら、美月がふふっと笑って言った。


「二人とも、最初は紗羅が帰ってから楽しそうに亮と遊んでたけど…
だいぶ経ってからはずっと寂しそうだったよ。」


「え?」


「ほんとは寝ちゃったのも泣き疲れたからなの。」


「そうだったの…?」

『すいません、迷惑かけて。』


「いーえー。やっぱり子供たちもまだまだ子供だね。」


「ふふ、ちょっとホッとした。」


「だから、起きたらパパとママがいたら喜ぶよ。爆睡だから起きないと思うし、連れて帰ってあげて」


「うん、ありがとう」

『ありがとうございました、面倒見てもらっちゃって』


少し家の中にお邪魔して、美月の旦那さんの雅也さんにも挨拶だけして

子供たちを連れて帰った。


美月が言う通り抱っこしても何しても起きなかった。


『ケーキは明日だな。』

「そうだね。」


『よし、今日は4人で寝るか!』

「うんっ!」


子供たちを挟んで私と真尋くんが両端という位置で一つのベッドに入った。


元々は大きいベッドも4人も一緒だと少しギュウギュウだったけど、

それさえも幸せに感じる。


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