君がいるだけで…[番外編短編集]
「あっ、美月、今年も浴衣着よーね!?
お母さん張り切るだろうな~」


「そうね、また紗映さんにお願いしなきゃ!」


美月が言う“紗映さん”とは、
私と朔也のお母さんのことである。


実の親子みたいに
仲のいい美月と私のお母さん。


不思議だけど、嬉しいものだ。


だから毎年、お祭りの日は
私のお母さんが着付けをしてくれる。


ちなみに、
朔也は浴衣着るのを嫌がるけれど、
毎年有無を言わせずにお母さんが
着せるので、

朔也は毎年このお祭りの日は
少し憂鬱みたい。


まぁここ数年で諦めたみたいだけどね。


嫌がりながらも朔也が本気で拒否しないのは、
私と美月が遠慮せず着付けを頼むのは、

お母さんが毎年楽しそうに
私たち3人を着付けしてくれるから。


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