君がいるだけで…[番外編短編集]
キーンコーンカーンコーン―――………


「んーっ!授業終わったっ!」


午後の授業も、帰りのHRも全て終わった後、
私はのびーっとしながらそう呟いた。


「あんたは何にも授業集中してなかったでしょーが。」


そんな冷たい一言を私に間髪入れずに落としたのは、美月しかいない。


「だって楽しみなんだもん!」


「はいはい。」


そんなやり取りもそこそこに、
帰りの準備をそれぞれ進めていく。


…と、そこへ、
お昼には見なかった真尋くんの姿が。


「やっと来たか。」


「え…?」


美月の言葉の意味がわからなくて聞き返そうとしたけど、その前に真尋くんに話しかけられてしまって聞けずに終わった。


『紗羅先輩…!今、いいですか?』


「ん?いいよ?」


何だか今日の真尋くんはちょっと変…?


『あの…今日の夏祭りって、
もう誰と行くか決まってます…か?』


「えっ…あ、ごめんね。
夏祭りは毎年美月と朔也と行ってて…」


『そう、です…よね…。』


明らかに私の言葉でショボンとした真尋くんにどうしようかと迷っていたら、美月が提案してくれた。


「いいじゃない、みんなで行けば。」


その言葉に私と真尋くんは同時に美月を見つめる。


「えっ、いいの?」『いいんですか!?』


そんな二人の同時の質問に、
美月はさらっと答えた。


「別にいつものメンバーになるだけだし?」


「それもそうか…!」


「それに、お祭りは大勢のが楽しーでしょ?」


そう言って、ウインクをした美月。


他の人…特に男の子からすると、
今のは目がハートになるぐらいだと思うけど…


私には…、
何だか面白がっているようにしか見えなかった。


ちょっと怖い…。
なんて口に出しては言えないけど。


「じゃあ6時に現地で合流ね。」


美月がテキパキと真尋くんに話す。


『わかりました!』


そんな美月の言葉に、
真尋くんも明るく返事をしていた。


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