君がいるだけで…[番外編短編集]
『先に景品落とした奴が勝ちな』

『わかりました!』

『負けませんよ?』


何やら3人は射的で勝負をするらしい。


『どうせなら、何か賭けませんか?』

真尋くんが提案をする。


『じゃあ、みんなの食べたい物を奢るってどうだ?』

『楽しそうっすね。』

その提案に乗る朔也と慎吾くん。


その光景を笑顔で見ていた私と美月。


と、そこへ、
突然朔也に尋ねられた。


『紗羅、何が欲しい?』


突然の質問にびっくりしたけれど、
射的の景品てことがわかって景品に目を向けた。


「んー、あ、あれがいい!」


私の目に止まったのは、くまのぬいぐるみ。


『あのくまのぬいぐるみを、
先に取った奴が勝ちな。』

『『わかりました!』』



『ほら、紗羅。』

そう言ってくまのぬいぐるみをプレゼントしてくれたのは、朔也だった。


イコール、勝負で見事に勝利したのは朔也。


まぁ朔也は昔から私や美月が欲しいという物を取ってくれていたから当たり前かも知れない。


そして、

『美月にもやるよ』


と言って朔也が渡したのは、
くまのぬいぐるみと同じ大きさの
猫のぬいぐるみだった。


「私はいらないわよ」


美月がそう言ったけど、
朔也は美月の言葉を無視して美月に猫のぬいぐるみを渡していた。


『素直に受け取っとけ』

「…ありがとう」


いつもそうだった。
朔也はちゃんと私と美月の2人に景品を渡してくれていた。


それは今でも変わらないらしい。


『先輩、射的得意だったなんて聞いてないですよ!』

『そうっすよ、狡いじゃないですか!』


『あれ、そうだったっけ。
悪い悪い!』


『もういいっす。
朔也先輩には奢りません。』

『はぁ?何でだよ!』

『だって狡いじゃないですか!』


そんなやり取りを何とか(?)終えて
結局朔也に奢るのはなくなって、

慎吾くんが美月に奢り、
真尋くんが私に奢ってくれることになった。


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